おはようございます。ホッとアザラシです。久々の更新ですね。
今年度から導入される予定だった英語民間試験が来年度以降に延期されるというニュースが報道されております。
この問題については鳥飼玖美子先生も早々にコメントをしております。まだお読みいただいていない方は
こちら ↓
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/414086.html
でご確認ください。
私も読んでみましたが、コメントの中でいろいろと気になった点がありました。その点をピックアップして私なりに感じたことを書いてみたいと思います。
このコメントでは問題点を7点指摘しております。
問題点①~⑦
① 大学入試センターの「共通テスト」でありながら、民間の英語試験だけは、実施する事業者の運営に任せている。そして入試センターの英語試験と違って、民間試験は学習指導要領にもとづいた出題ではないし、出題内容を公表しない。
「学習指導要領にもとづいた出題ではない」という点がとても気になりますね。しかし、これは実は珍しいことではなく、私が学生時代のころの共通一次試験では高校では到底、学習していない難問・奇問が平気で出題されていたように記憶しています。その点、最近のセンター試験はしっかりと高校の学習範囲の中で作られている試験であるということができます。この点を考えると、今回の導入がとても高校生にとって良いものであるとは思えません。
②認定された民間試験は7種類あって、それぞれ目的や試験の内容、難易度、試験方法、受検料、実施回数などが違う。
驚きましたね。このような環境で50万人もの受験生をどうやって評価するのでしょうか?全く理解できません。
③「受験生の経済格差」によって成績に差が出てしまう可能性がある。
これはやはり、身の丈に応じて受験生は受けられるだけ試験を受けてください・・・と言うことでしょうか。経済力が本人の努力ではどうにもならないものだとすれば、当然、教育上大きなマイナス効果になると思われます。
④「採点の公正性」が確保できない。
本人の一生を無資格のアルバイト学生に委ねられるのでしょうか・・・普通に論外ですね。
⑤出題や採点のミス、機器トラブルへの対応が難しい、あるいは避けられない。
このような試験に受験性の一生が委ねられるのでしょうか・・・同様に論外ですね。
⑥「利益相反」の疑い。→ 問題集販売や試験実施で金銭を得ることが目的になる恐れがある。
民間試験というのは利益優先で作られていますので、このような流れは避けられないと思います。英語教育の本質が歪められていく悪影響が懸念されます。
⑦根本的な問題として高校は大学入試を無視できないので、高校英語教育は民間試験対策に変質します。
現在のセンター試験では「話す、書く」能力が測定できないため、高校教育では、この点が軽視されているということをこのブログでも指摘してきましたが、それだけ大学入試が高校教育に与える影響は大きいということです。①で指摘されているように民間試験が学習指導要領に基づいていないとすると、もはや高校英語教育は崩壊することになりかねません。
最後に「話すこと」の評価がクローズアップされていますが、自分が考えたことを英語でスラスラと話せれば語学の目的のほとんどは達成されたことになります。言わば、完成された目標と言えるでしょう。しかし、18歳の日本人の高校生に 語学の完成を求めるのはそもそも酷な話です。高校生の目標としては英語を「書ける」という段階で十分だと考えます。書ける能力は将来、必ず話す能力へと発展していくことが期待できるからです。
古文や漢文では同じ言葉の学習でありながら話すことは全く重視されていません。むしろ文化の理解や文法の理解が中心です。それで批判されることはまずありません。なぜ英語学習ばかりがここまで話せることにこだわらなければならないのかもう一度、考えてみる必要がありそうです。
・・・というわけで、本当に問題が多過ぎて、書いていて恥ずかしくなるくらいなのですが、それだけ英語教育の問題は知れば知るほど、難しいということが言えると思います。しかし、いつの時代も、振り回されるのは受験生です。安定した制度を整備することが早急に求められています。
このブログで書いてきたように、英語教育の本質は異文化理解であり、語学に関しては翻訳力(英文和訳と和文英訳)を磨くことにあります。その点を踏まえて受験生の実力を公正に評価するにはどうしたら良いか、議論を深めていく必要があると思っています。
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